アロマテラピーで使用する精油と身近にある同じ呼び名の植物は同じなの?
今年も外に出ると、数メートル先から濃厚な羽衣ジャスミンの香りが漂ってくる季節になりましたね。
アロマ初心者さんだと「ジャスミン」という名前がついている植物とアロマテラピーで使用する「ジャスミン」と同じ植物なんだろうか?
精油の「ジャスミン」の植物はどの種類なのかな?
お花の色は?
お花の形は?
と疑問が湧いたりすることはないでしょうか?
NARDアロマテラピー協会のアロマアドバイザー講座では40種類の精油を学びます。
「ゼラニウム」「ラベンダー」「ユーカリ」なども
お花屋さんや園芸屋さんでよく目にする植物名ですよね?
この植物はレッスンで使っている精油と同じ植物なの?
もし、違うなら、精油の元となる植物はどんな形のどんな色のどんな植物なのかな?
と疑問に思われるのではないかと思います。
私もアロマを習い始めの頃は思いました。
アロマレッスンでは植物から抽出した精油の成分、作用、使い方、香りについてなどは深く学ぶけど
原料の植物までは意外と触れなかったり、触れてもさらっとのことがあるのではないでしょうか?
でも、精油の原料となる植物のことも知っていると、精油の扱いがより奥深くなり、味わい深いものになります。
ぜひ、少しずつ、使っている精油の元となる植物そのものについて探求していきましょう。
実は植物は同じ名前の植物でも何百という種類があります。
精油のジャスミンの原料の植物はハゴロモジャスミンとは異なる種類です。
見分けるポイントは学名で同一の植物か否かが確認できます。
学名とは世界共通の植物につけられた名前のことです。
ジャスミンの種類の学名
➀Jasminum officinalis
風ら花で使用しているプラナロム(精油メーカー)の精油のジャスミンです。
②Jasminum grandiflorum
ソケイ、オオバナソケイとも呼ばれるジャスミンです。
こちらからも、精油が採れます。
③Jasminum sambac
マツリ(茉莉花)、アラビアンジャスミンとも呼ばれる種類のジャスミンです。
ジャスミン茶の香りづけに使われる種です。
こちらからも精油が採れます。
➀~③は精油が採れるジャスミンです。
どのジャスミンから精油を採っているかは、精油メーカーによって異なります。
それぞれ、香りが違いますので、お好みのものを選ばれるとよいと思います。
④Jasminem polyanthum
ハゴロモジャスミン。
こちらからは精油は採りません。
観賞用として、お庭で育てている方が多いですね。
となりますので、精油の原料のジャスミンとハゴロモジャスミンは植物の種類が違うことが分かりますね。
ジャスミンの学名の意味
1つ1つの植物につけられた世界共通の名前の「学名」から植物の様々なことが分かります。
学名は2つの単語から構成されていて
◆前の単語はその植物の分類の「属名」
➀Jasminum officinalis
②Jasminum grandiflorum
③Jasminum sambac
④Jasminum polyanthum
全て「Jasminum」という属名であるということが分かりますね。
これは、モクセイ科ジャスミナム属(ソケイ属)という意味です。
「Jasminum」の語源はペルシャ語「ヤースミーン」から由来し ”神様からの贈り物”という意味だそうです。
この語源を知った時、この素晴らしい香りをもつ植物にまさにピッタリ♪と感動しました。
◆そして、学名の後ろの単語は「種小名」です。
ここでご紹介した4種とも「種小名」が異なり、それぞれ違った意味があります。
➀Jasminum officinalis (薬用の)
②Jasminum grandiflorum (大きな花の)
③Jasminum sambac (永遠の愛を誓う)
④Jasminem polyanthum (多くの花)
この種小名の意味も植物を知る上ではなかなか興味深いですね
資格取得のテスト対策としては、黙々と覚える学名ですが、こうやって意味を考えながら学ぶと楽しくなりますね。
ジャスミンの香りの成分
ジャスミンの種類によって、含まれる香り成分が違うので、一言でジャスミンと言っても、それそれ、香りが異なります。
この情報は長谷川香料株式会社様のジャスミンの香りの多様性~ジャスミン3種の香気分析~を参考にさせて頂きました。
共通する成分としては以下の2つ
・酢酸ベンジル(benzyl acetate)
・インドール(indole)
この2つの成分によって、ジャスミンが共通して清楚で上品な香りになります。
ちなみに「インドール」という成分は微量だと、とってもよい香りに感じるのですが、濃度が濃いと「糞」のような臭いにおいになります。
香りって不思議ですよね。同じ成分なのに、濃度によって、魅力的な香りにも、悪臭にもなります。
なので、ブレンドするとき、それぞれの精油を何滴にするかを決めるのは非常に重要になります。
それぞれジャスミンの香りを特徴づける成分は
◆風ら花で使用しているジャスミン(Jasminum officinalis)
➀安息香酸ベンジル
ほのかにバルサムのような香りが加わわります。
◆ソケイ(Jasminum grandiflorum)
➀リナロール
②ジャスモン酸メチル
③オイゲノール
④(E)-イソオイゲノール
⑤ジャスミンラクトン
さわやかで軽めのフローラルの香りとスパイシーさが加わった香りになります。
◆茉莉花(Jasminum sambac)
➀リナロール
②酢酸(Z)-3-ヘキセニル
③アントラニル酸ジメチル
グリーンでフレッシュな香りやオレンジフラワーのような香りになります。
個人的にはこのジャスミンが一番好きです。
◆ハゴロモジャスミン(Jasminem polyanthum)
➀オイゲノール
②(E)-イソオイゲノール
③4-メチルグアヤコールmethylguaiacol
④4-プロフィルグアヤコール
⑤バニリン
⑥パラクレゾール
など、かなり濃厚な香りの成分が特徴です。
ジャスミンの抽出法
ジャスミン精油の抽出法は溶剤抽出法(アブソリュート)です。
ノルマルヘキサンなどの揮発性の有機溶剤で芳香成分を抽出し、その後、溶剤を揮発させて精油を残す方法です。
そのため、溶剤が微量でも残る可能性があり、この方法で抽出した精油は基本的には、主に芳香で使用することが多いです。
皮膚塗布で使用するとしても、皮膚トラブルを防ぐために、濃度に注意する必要があります。
精油の抽出法については以下の動画で簡単に説明しているので、よろしければ、ご覧ください。
ジャスミン精油の効能・効果
精油が抽出されるジャスミン3種(➀Jasminum officinalis ②Jasminum grandiflorum ③Jasminum sambc)に共通している成分は
酢酸ベンジル(benzyl acetate)でしたね。
この成分の代表的な作用は
➀肉体的にも精神的にもリラックス作用
身体の筋肉も心も緩め、ゆったたりとした状態にさせてくれます。
②誘眠作用
眠れない時に香りをかぐと、安眠に誘ってくれます。
ただし、使用量は1滴程度、多量使用すると、香りがきつすぎて、逆効果になってしまいます。
③幸せな気持ちになる
幸福感を感じるエンドルフィンの分泌を促してくれます。
この香りをかぐだけで、ほんと、幸せな気持ちになれます。
④痛みの緩和
幸せな気持ちになったり、リラックスすると痛みは感じにくくなりますね。
嗅覚経路で心が穏やかになることによって、痛みを感じにくくしてくれますし、低濃度で植物油などに希釈して、皮膚塗布すると、この作用が身体に及ぼされます。
⑤催淫作用
フェロモン的な作用と言いましょうか、異性を引き寄せる作用となります。
これは、成分的な効能ではなく、香りでの作用となります。
占星術的な観点からのジャスミン
香料業界ではジャスミンは「ローズ」「ミュゲ」に加えて、三大フローラルの1つです。
「ライラック」を加えると四大フローラルともいわれているくらい、香り創りには欠かせない香りです。
また、「香りの王様」とも呼ばれ、占星術的には獅子座の象徴オイルです。
堂々と自分を表現したい時、自分の魅力を引き出したい時にこの香りを身にまとうと自信が湧いてくるかもしれませんね。
事実か否かは分かりませんが、古代エジプトのクレオパトラがローズやジャスミンを使って男性を魅惑したという伝説や物語があります。
彼女の美貌や知性、魅力にジャスミンの香りが加われば、心理的コントロールされてしまいそうですね。
ぜひ、あなたも、よい使い方で、ジャスミンの香りを活用してみて下さいね。
参考文献
②Jasminum grandiflorum ③Jasminum sambc ④Jasminem polyanthum
の3種の含有芳香分子と香りに関しては長谷川香料株式会社様の上記のサイトを参考にさせて頂きました。
◆ナード協会精油事典
◆ナード協会精油小事典
◆ハーブ学名語源事典 東京堂出版