
「におい展」が横浜マークイズみなとみらい5F・オービィにて開催されていました。
アロマテラピーに携わる者として、こうした香りのイベントは見逃せないもの。
この記事では、アロマ好きの方にも初心者の方にも役立つ“楽しみ方の視点”をお伝えしてまいります。
自由に感覚を味わいたい方は、先入観を持たずに行かれた後に読んでいただくのもよろしいかと思います。
水蒸気蒸留器をチェック

植物精油を抽出する際に欠かせない「水蒸気蒸留器」が展示されています。
精油は
・水に溶けにくい
・水より比重が軽い
という性質があり、上に精油、下にハーブウォーターが分離します。
展示では、
植物を窯に入れて加熱 → 気化した精油成分が管を移動 → 冷却されて液体に戻る
という流れを視覚的に理解できます。
踏み台があり、窯の中をのぞけるようになっていました。
ローズ3種の嗅ぎ比べ

ローズは種類が多く、分類も複雑なお花です。
プラナロム精油でおなじみのローズは「ロサ・ダマスセナ」。
展示されていたローズA・B・Cは、普段のローズ精油と印象が異なりました。
同じ品種のローズから抽出した精油でも、抽出法で香りが変わります。
ローズの代表的な抽出法の種類は以下の2つです。
- 水蒸気蒸留法
- 溶剤抽出法
私の香りの好みは
B → C → A の順で好みでした。
どのローズかどういうものか詳細な説明はなく、問い合わせてもお答えはいただけませんでした。
香りに携わる者としては少し物足りなさを感じましたが、ローズの世界をさらに深めたくなる展示でした。
香水の原料になる香り

精油としてもおなじみの香りが、香水の世界でも非常に重要です。
ミドルノート(トップのあとに広がり、しばらく続く香り)
- イランイラン
- ジャスミン
ベースノート(ミドルノートよりもがなく、最も長く残る、香りの土台となる部分。
- ベチバー(大地のような深みのある香り)
展示で初めて嗅いだ香り
- トンカビーンズ(甘くパウダリー。クマリン主体)
- イリス(プラナロムにはないので新鮮でした)
ミイラの防腐処理に使われていた香りとして
- ミルラ
- フランキンセンス
も展示されていました。
香木の香り

魔よけとして用いられた香木も体験できます。
- 安息香(ベンゾイン)
- かっ香(パチュリ)
- 白檀(サンダルウッド)
- 桂皮(シナモン)
どれも香水づくりには欠かせない存在です。
動物由来の香り

植物が原料のアロマテラピーでは使いませんが、調香の世界では重要な“動物の香り”。
展示されていたのは以下の4つ。
- ムスク(ジャコウジカ)
- アンバーグリス(マッコウクジラ)
- カストリウム(カイリコウ)
- シベット(レイビョウ)
最初にこれを香りとして見つけた人の感性は、まさにミラクルそのもの。
現在使用されているアニマル調の香りはすべて合成香料が利用されています。
植物精油で動物的なニュアンスを補いたいときは
- スパイクナード
- アンゼリカ
などでアニマル調の香りを表現することができます。
12か月の花の香り

一年を通して楽しめる花の香りも展示されていました。
意外な花にも香りがあり、面白い内容でした。
ただし12種類続けて嗅ぐと分かりにくくなるため、途中で嗅覚をリセットするとよろしいかと思います。
武将がまとった香り

文献をもとに調香師が再現した、武将たちの香りが展示されていました。
- 徳川家康
- 豊臣秀吉
- 北条氏政
- 織田信長
目を閉じて嗅ぐと、時代の情景が浮かんできます。
特に印象に残ったのは徳川家康の香り。
高貴で神々しく、凛とした品を感じる香りでした。
詳細のブレンド内容は非公開でしたが、香りから受けるイメージの違いがとても興味深い展示でした。
その他のにおい
心地よい香りだけでなく
- ドリアン
- くさや
- 加齢臭
- ストレス臭
- ・虫の警戒臭
など、嗅ぐには勇気がいる香りも展示されていました。
興味深かったのは男女それぞれのフェロモン臭。
嗅覚と心理のつながりが体験できました。
最後に
世界には、数え切れないほど多くの「におい」が存在します。
会場には、香りの専門家ではない方もたくさん訪れており、「におい」への関心の高さを改めて感じました。
嗅覚という感覚器は世界を豊かにし、危険を察知する大切な感覚でもあります。
ときには目を閉じて、ただ香りに意識を向けてみてください。
視覚情報から離れて香りを味わうと、あなたの世界はさらに豊かに広がります。
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