
「ラベンダーの精油」と聞くと、どんな香りを思い浮かべますか?
やさしく穏やかな香り、リラックスしたいときの香り、眠る前に使う香り……。
アロマテラピーにあまり詳しくない方でも、「ラベンダー=リラックス」というイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。
けれど、実は同じ「ラベンダー」という名前がついていても、さまざまな品種のラベンダーがあります。
原料となる植物の品種が違えば、含まれる芳香成分も異なり、香りや、それぞれが得意とする作用にも違いが生まれます。
今回ご紹介するのは、以下の3種類
- ラベンダー・アングスティフォリア
- ラベンダー・スピカ
- ラベンダー・スーパー
「ラベンダーなら、どれを選んでも同じ」ではありません。
それぞれの違いを知ると、その日の自分の状態や目的に合わせて精油を選べるようになり、アロマテラピーの楽しみ方がぐっと広がります。
また、使用上の注意も違ってきますので、安全に使うためにもとても重要です。
今回は、3種類のラベンダーについて、植物としての違い、芳香成分、香り、特徴、使い分けまで、できるだけ分かりやすくご紹介します。
ラベンダー・アングスティフォリア|リラックスのラベンダー

一般的に「ラベンダー」と聞いて、多くの方がイメージしているのがラベンダー・アングスティフォリアです。
「真正ラベンダー」「イングリッシュラベンダー」と呼ばれることもあります。
- 学名:Lavandula angustifolia
- 科名:シソ科
- 抽出部位:花穂
- 抽出方法:水蒸気蒸留法
- 産地:フランスなど
- 主な芳香成分:酢酸リナリル、リナロールなど
ラベンダー・アングスティフォリアの成分の大きな特徴は、リラックス作用を持つ「エステル類」という芳香成分類の成分を多く含んでいることです。
代表的な成分が「酢酸リナリル」です。
また、「リナロール」というリラックス作用を持つ成分も含まれています。
初心者の方は成分の名前が出てくると難しく感じるかもしれませんが、「リラックスに関わる成分を多く含んでいる」と思っていただければ大丈夫です。
これが、ラベンダー・アングスティフォリアがリラックスを得意とする理由です。
香りは、やわらかな甘さを感じるフローラル調です。
一日の終わりに気持ちをゆるめたいときや、緊張から解放されたいとき、ゆったりと眠りにつきたい夜などにおすすめのラベンダーです。
ラベンダー・スピカ|感染症予防のラベンダー

スパイクラベンダー、野生ラベンダーなどとも呼ばれることもあります。
同じラベンダーという名前を持ちながら、アングスティフォリアとはかなり違った特徴を持つのが、ラベンダー・スピカです。
- 学名:Lavandula spica
- 科名:シソ科
- 抽出部位:花穂
- 抽出方法:水蒸気蒸留法
- 産地:フランス、スペインなど
- 主な芳香成分:リナロール、1,8-シネオール、カンファーなど
ラベンダー・スピカに最も多く含まれている芳香成分類は、アングスティフォリアにも多く含まれている「モノテルペンアルコール類」で、代表的な成分が「リナロール」です。
アングスティフォリアと大きく違うところは、それに加えて「酸化物類」の1,8-シネオールや、「ケトン類」のカンファーが含まれていることです。
1,8-シネオールは、ユーカリ・ラディアタやユーカリ・グロブルスなどにも多く含まれている成分で、呼吸器系のケアなどに有効な成分です。
また、ケトン類には去痰作用があり、鼻水や痰などの粘液に働きかけます。
このような成分の違いから、スピカは呼吸器系の不調や感染症対策に役立ちます。
成分のお話は少し難しいですね。
こちらも、「含まれている成分によって、このような働きの違いがあるんだな」と理解していただければ大丈夫です。
香りも、アングスティフォリアの甘くやわらかな印象とは異なり、すっきりとした清涼感のある香りです。
感染症予防に使いたいラベンダーです。
また、スピカには神経毒性のあるケトン類が含まれているため、妊娠中や授乳中、小さいお子様、神経系が弱い方、てんかんのある方、ご高齢の方には使用できない精油です。
このように、「ラベンダー」という名前がついていても、品種によって含まれる芳香成分は異なります。
そのため、作用だけでなく、使用上の注意にも違いがあります。
成分を知ることは、目的に合った精油を選ぶためだけでなく、安全にアロマテラピーを楽しむためにも大切なことなのです。
ラベンダー・スーパー|交配種ラベンダー
ここまでご紹介したアングスティフォリアとスピカの交配種になります。
一般的に「ラバンジン」と呼ばれています。
- 学名:Lavandula × intermedia clone super
- 科名:シソ科
- 抽出部位:花穂
- 抽出方法:水蒸気蒸留法
- 産地:フランス、スペインなど
- 主な芳香成分類:エステル類、モノテルペンアルコール類、ケトン類
ラベンダー・スーパーの成分を見ると、アングスティフォリアとスピカ、両方の特徴が見られます。
アングスティフォリアに多く含まれる「エステル類」、両方のラベンダーに多く含まれる「モノテルペンアルコール類」、そしてスピカに含まれる「ケトン類」が主な芳香成分類です。
また、スピカに多く含まれる「酸化物類」も含まれていますが、その量は多くありません。
2種類の交配種ではありますが、成分構成はラベンダー・アングスティフォリアに近く、主な作用もリラックスになります。
香りもアングスティフォリアに似ていますが、やや軽く、すっきりとした印象があります。
そのため、リラックスしたいけれど、アングスティフォリアよりも爽やかさを求めるときにはおすすめです。
アングスティフォリアと比べて価格がお手頃なことが多いため、日常的に取り入れやすいのもスーパーの魅力です。
また、神経毒性のあるケトン類も含まれていますが、スピカほど含有量は多くありませんので、用法・用量を守って使用すれば、特に禁忌のない精油です。
3種類のラベンダー、目的に合わせて選んでみましょう
ここまで、ラベンダー・アングスティフォリア、ラベンダー・スピカ、ラベンダー・スーパーの3種類をご紹介してきました。
同じ「ラベンダー」という名前がついていても、品種によって含まれる芳香成分が異なり、香りや作用、使用上の注意にも違いがあることがお分かりいただけたでしょうか。
リラックスを目的に使いたいときには、ラベンダー・アングスティフォリア。
呼吸器系のケアや感染症対策に取り入れたいときには、ラベンダー・スピカ。
リラックスをしたいけど、手軽に楽しみたいときはラベンダー・スーパー。
このように、それぞれの特徴を知っておくと、そのときの目的や好みに合わせてラベンダーを選べるようになります。
精油の働きを丸暗記するのではなく、大切なのは「こういう成分が入っているから、こういう作用がある」を知ること。
精油に含まれる芳香成分を知ると、目的に合わせて選べるだけでなく、安全に使うための注意点も分かるようになります。
最初は難しく感じる成分のお話も、少しずつ理解できるようになっていくので大丈夫です。
そうすると「何となく使う」から「確信をもって選ぶ」へと変わり、アロマテラピーがさらに楽しくなっていきます。
まずは身近なラベンダーから、香りだけでなく「どんな成分が含まれているんだろう?」と興味を持っていただけたら嬉しいです。
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